(1)照明の交換や古紙回収など環境対応が可能
マンションは、大勢の人が暮らしているだけに、ちょっとした工夫でも、大きな省エネ効果がありますが、居住者の皆さんにムリな負担がかかると、実行しにくいのも事実です。そこでお勧めしたいのが、省エネだけでなく管理費の節約にもなり、しかも快適な暮らしを演出できるのが、「照明の交換」。
これまでは、蛍光灯が使用されることが多かった共用部の照明ですが、クールな色調が住宅には似合わないため、近年は暖かい色調の白熱灯の人気が、高くなっています。この場合、問題になるのが消費電力。同じ明るさの消費電力を比べると、白熱灯は蛍光灯の4倍程度。地球環境と管理組合会計の双方に、負担がかかることになります。
幸い、最近は白熱灯のような暖かみの色調で、寿命も長い蛍光灯が出回っております。共用部の照明を、白熱灯から暖色系の蛍光灯に代えることは、管理組合として手軽に取り組むことができる省エネ投資です。
古紙等の回収も、管理組合にメリットの大きい環境対策。多くの自治体が、集団回収の制度を設けています。この仕組みによる助成金を、コミュニティー活動や緑化のための費用としている管理組合もあります。
(2)「住戸内」での省エネ向上には家電対策が
残念なことですが、家庭内の省エネは、事業所などと比べて大変遅れています。大きな原因は、家電製品が増えていることです。照明や家電製品のスイッチを、こまめに切るといった日常生活での工夫が必要なことは、いうまでもありません。
特に効果が大きいのは、家庭の全消費電力の10%程度を占めるテレビやエアコン等の、リモコン操作などのための「待機消費電力」の節約。トイレの温水便座の消費電力も、馬鹿になりません。プラグをさしたまま、スイッチでオン・オフできる省エネコンセントを使用するなど、各家庭のライフスタイルに合わせた工夫をしたいものです。
家電製品を買い替えるときには、少し高くても省エネ型を選ぶ方が、電力料金の節約になります。リフォームをするときにも、デザインや使い勝手だけでなく、省エネや自然製品の利用など、環境への配慮をする必要があります。
南側のバルコニーに、プランターに朝顔やゴーヤなどを植え、ツルをネットに這わせて“緑のカーテン”をつくれば、エアコンの使用を減らすことができます。なお、ご参考までに、バルコニーは共用部分です。”緑のカーテン“をつくるときには、管理組合のルールを守ってください。
(3)健康で快適な暮らしのために環境共生マンション
環境共生住宅(マンション)は、地球温暖化防止計画の一環として、平成10年に認定制度がスタートしました。「地球環境保全」、「周辺環境との親和性」、「居住環境の健康・快適性」の3つの目的を実現するための基準を定め、(財)建築環境・省エネルギー機構が認定しています。
認定を受けるためには、省エネや耐久性など7つの必須項目をクリアすることに加えて、2つ以上の高度な提案をする必要があります。認定を受けたマンション等の共同住宅は、平成18年度までに2,949戸で、一戸建て住宅の8,525戸に比べると、未だあまり普及していません((財)建築環境・省エネルギー機構の調べ)。
認定を受けたマンションの中には、居住者みんなで環境共生のライフスタイルを続けるために、管理規約と同じ効力をもつ「環境共生憲章」を定め、「環境共生委員会」を組織して、ガーデニング教室を開催するなどの活動をしている具体例もあります。
環境共生マンションの考え方の中には、こうしたソフト面での取り組みを中心に、既存のマンションでも、応用できるものも少なくありません。
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