海外視察の旅、2015年は5回、主に東南アジアに
2016年の今年はサル年。還暦をさらに一周上回る年男となってしまった。友人から来た年賀状に、「年年歳歳 花相似 歳歳年年 人不同」と詠んであったが、昨年もまた、多くの畏友が鬼籍に入ってしまった。何とか生き延びている小生のカラ元気度指数は毎年、海外旅行が尺度となっている。さて、2015年、昨年の海外視察の旅の収穫を拾ってみよう。
まず三月は、「タイ・ミャンマー・ラオス」に。都市住宅学会でバングラディッシュを予定したが、治安が悪く急きょ取りやめて、チェンマイ大学の教授を頼ってのタイ視察。ミャンマー国境近くの山々の上空は焼畑農業によって今なお白い煙霧が立ち込め、飛行機も飛べず、クルマで山奥にアチコチ出入したが、どの道路も大麻密輸の検問が厳しい。ゴールデントライアングルの黄金の三角地帯に入り、メコンの大河を船で横切りミャンマー、ラオスに入ったら、驚くべきことに、どちらの川沿いにもカジノの煌々と輝く巨大建物が森林の中に浮き出てきた。「こんなところに…」と言ったら、「タイではカジノが禁じられているので」との返事が返ってきた。
六月は、イギリスのカントリー巡り。ビートルズのリバプールからロンドンまでのバスの旅。途中の15日には、「マグナカルタ(大憲章、1215年制定)」から今年が「800年記念」に当たるので、その「記念式典」がエリザベス女王、キャメロン首相も出席して、開催されたというニュースが田舎にも流れてきて、マグナカルタにうたわれている「立憲主義」「人権」の意義を確認しあったという。イギリス民主主義の基礎は、すでに日本の鎌倉時代に出来上がっていたのかと改めて驚き、それが561年後の1776年のアメリカ民主主義の土台となる「独立宣言」文に引き継がれたことを思うと、今ごろ憲法無視の新安保法制が成立してしまった日本の未熟さにもあきれた。
8月は、アンコールワットのレジェンド・石澤上智大教授(元学長)が母校OBを率いて毎年、カンボジア・アンコールワット詣でに、今年も参加。一億円弱の政府ODA予算がついたことから、いよいよ上智大学アジア人材養成研究センターの手で、世界遺産参画「西参道修復工事」の一大プロジェクトが年初から始まろう。ついで、オプションにラオス各地の遺跡視察も入れて、熱暑の密林に分け入り、無事出られた。
改革開放のメッカ・広州市内でも、スケルトンのみのまま放置されている超高層ビル
10月は上海へ、11月は、香港・マカオ・珠海・広州へと。この旅は、孫娘が広州の広東外大に短期留学したので、家内、娘も連れ立っての楽しい家族旅行のはずだったが、旅行社の案内もないので、暴走タクシーに乗せられ、迷子になったりの体当たり戦法で悪戦苦闘。とくに香港、マカオは久しぶりだったが、中国に返還されたとはいえ名ばかり。未だに現地通貨しか使えず、不便で閉口した。中国元の弱さを改めて知った。
掲載:会報「サロン・ド・ムッシュ」新年号
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