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不動産流通市場における新たなネット勢力「おうちダイレクト」

2015年、年の瀬も迫ってきました。
そこで今回は、来年の展望も踏まえて、2015年の不動産業界を振り返ってみることにしましょう。

思えば今年も不動産業界では大きな問題・事件が相次いで起きました。
デベロッパーの開発事業分野では、基礎杭の不良工事による「傾斜マンション問題」が話題となり、不動産流通事業分野では、不動産流通の業界地図を一変させる重大な問題が起きて、2016年の成り行きが極めて注目されています。

この「不動産流通の業界地図を一変させる重大な問題」とは、ソニー不動産がヤフーと組んで、わが国初の「CtoC」(消費者同士)中古マンション取引サイト「おうちダイレクト」を開設したことにはじまります。

今までの常識を破壊するために

これまで、一般消費者が中古マンションを売り・買いするには、不動産仲介流通業者に物件を持ち込み、客付けされるほかに手段がありませんでした。さらに、売りも買いも仲介手数料は取引成約価格の「3%プラス6万円」と法律で上限価格が決まっているので、仲介業者には売りと買いの両方から手数料が入る上、6%以上ものフィーを別に受け取るのが業界の常とされてきました。
そもそもこの「両手取引」は売りと買いとの両手取引が利益相反となることからアメリカなどの先進国でもかなり禁じられている行為ですが、日本の不動産業界ではまだまだこのやり方が主流となっています。

そこに目を付けたのが、昨年春、ソニーの100%出資による子会社として設立されたソニー不動産です。
その第1弾が消費者本位の「片手取引」を明確な経営方針とすること。つまりソニー不動産は、掟破りともいえる手数料価格破壊の流通革命を始めたのです。

「おうちダイレクト」の重大さ

ソニー不動産の流通革命の第2弾が、今回の11月に開始された「おうちダイレクト」です。
この全く新しい不動産売買プラットフォームは、リアルタイムで自分で売りたいマンションの価格査定ができ、さらに売値も自分で決めることができるという画期的なものです。しかも自分のマンションを売却した際、売却仲介の手数料を払う必要はありません。(※ソニー不動産としては、売主からの仲介手数料を放棄する代わりに、買主からしっかりと仲介手数料をとるという仕組みになっています)

具体的な流れとしては、マンション所有者が不動産仲介会社を介することなく自分で自由に売値を設定し、その物件情報を「Yahoo!不動産」内の「おうちダイレクト」上に無料で掲載するというもの。

当面、東京都心部の6区(千代田区、中央区、港区、品川区、渋谷区、江東区)でサービスを開始して、軌道に乗り次第、順次サービスエリアを拡大させていく方針ということです。

まとめ

このように、不動産流通業界は今、大きな構造的変化に直面しています。
リアルタイムで物件価格を査定する中古物件価格推定サイトのローンチは、来年以降もしばらく続くことでしょう。
2016年の不動産業界は、こうしたネット業界からの新規参入の更なる激化が予想されます。

(平成27年12月掲載)

出典:『不動産×IT』研究所

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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