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中国内陸部も、開発エネルギーはすさまじく、熱気にあふれていた―日本不動産学会の中国・安徽省視察

 日本不動産学会主催の「中国・安徽省の不動産事情視察」に、4月23日から27日まで出かけた。視察地の安徽省は、中国内陸部の南京と武漢の中間に位置し、これといった特徴のないところ。省都の合肥市についても、全く馴染みのない都市なので、今回はあまり報道されていない中国内陸部での都市開発、環境開発が一体どうなっているのか、その発展状況をこの目でつぶさに視察し、現地各界との交流を楽しみに参加した。

 【写真1】安徽省の省都・合肥市の「市政務文化新区」での整然とした環境都市づくり。

 【写真2】中国の名山・黄山(世界文化遺産)の麓・黄山市の古い建築様式を活かした独特な新築連棟住宅。

上海から超高速鉄道で3時間半、省都・合肥へ

 省都・合肥に行くのに、上海の昔懐かしい虹橋空港からだが、驚いたことにその空港が、中国版新幹線(動力組高速列車)の発着場の基点にもなっていて、風景が一変していた。日本でいえば、新幹線の東京駅と羽田空港を一つにしたようなものだ。漢口行きに乗り途中、昆山―蘇州―無錫―常州―南京に停車したが、平均時速200km、最高250kmで、あまり揺れもせず、乗り心地は日本の新幹線と変わらない。窓を見やれば、行けども行けども麦畑や菜の花畑の平地が延々と続き、よくもまあこんな奥地にまで、戦前の旧日本軍は攻め込んできたものだと思った。合肥までは3時間半、中国は広くて深い。

 合肥での視察スポットは、総合的なニュータウンとして整備中の「浜湖新区」の開発。市商工部の責任者は、「安徽省は農業地帯。その農業経済から産業経済に移行する中での起爆剤として合肥市は、都市計画を推進し、緑を重視した環境循環の都市住宅を大量建設する。この新区にはすでに30万人が住み、将来は 120万人に膨らませ、金融サービスセンター化を目指す」と、高度成長まっしぐらの鼻息は荒い。

 もう一つの視察スポットは、「経済技術開発区」とは高速道路で区切られた「市政務文化新区」。真新しい超高層2棟の市役所ビル近くの、標準的なマンション団地、33階建て全5棟(合計780戸)を見学した。価格は中心帯の100㎡の住戸で80万元というから、日本円で約1000万円と安いが、田舎都市のうえ、こちらはすべてスケルトン(建物の骨格のみ)売りだから、住むにはさらに内装の100万円ほどがプラスされよう。管理費も、1㎡当たり月1.35元、 100㎡住戸では日本円で月1700円と安い。

 安いと言えば、合肥市のタクシー代は、最低8元(104円)で、夜11時以降からの割増料金が2元で、合計わずか10元(130円)。この料金で真夜中でも、怪しくないところの足裏マッサージ施設に行ける。

網の目のような高速道路網に疎らなSA・PA

 次は、高速道路に乗って、200km先の宣城市にある絶滅危惧種の「揚子江ワニ」自然保護施設視察と、さらに100km先の中国の銅都と呼ばれている銅陵市の銅生産をメーンとした複合企業グループ「銅陵有色金属集団ホールディング会社」の循環経済工業園区視察。この企業集団は、中国での電気銅(生産第2 位)を中心に、12の金属の採掘から精錬、化工、化学、機械、住宅・不動産業まで手がけるコングロマリットで、工業園区は、完全クローズドシステム化した循環経済のリサイクルシステムが確立しているという。こうした内陸部での鉱山都市でも、産業汚染・排泄物は出さずに環境循環させ、きれいな街づくりに協力していることを、企業経営トップが強調していた。

 中国の地方にも高速道路は、網の目状に張り巡らされてはいるが、長時間走ってみて気付いたのは、SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)が、中国ではなかなか見当たらない。200km走って、SAがわずか3カ所しかなかった。70kmに1カ所の割合だ。PAは1カ所もなかった。日本は15kmごとにPAがあり、50kmごとにSAがあるから、ことソフトのサービス面では、かなり遅れている。トイレの近い人には大変である。

 しかし、良いところもあった。交通事故で、片道2車線とも通行禁止のところを、なんと対向車線の追い越し車線に誘導させて、そこを走らせていた。これだと事故が発生して片道通行禁止となっても、渋滞もなく高速道路をそのまま走行できるようになる。日本でも、そのような高速道路の設計にしてほしいものだ。

日本はデフレ、中国はインフレ、まだまだ成長途上

 締めくくりは、世界遺産となった名山仙境・黄山のふもとの黄山市。その中心部には、宋時代からの古い町並み「老街」が、全長800mにもわたって今に伝え、墨や硯などの商店街として息づいていた。昨年見た古都・西安の街づくりも、古い遺産を今に大規模に甦らせてはいたが、どこか媚びるようにケバケバしく現代風に変相していた。ここ黄山市のは、さながら三国志の世界を彷彿とさせ、そっくりそのままの建物、石畳などの全体が残されていた。

 安徽省というあまり名の知られていない内陸部の、一つの省の各都市を見てきたわけだが、中国内陸部も予想していた以上の熱気にあふれ、開発エネルギーもすごく、都市開発もモーレツな勢いで進み、地方都市でも町は活発に賑わっていた。それに比べ、上海などの沿岸部は、かつてのような勢いは見られなくなったようだが、第3次、4次のサービス産業は増加しており、特に不動産業はまだまだ活発で、日本の不動産会社が、それも三井不動産や、積水ハウス、大和ハウスなどの大手が、沿岸部各地に足を踏み込んできた。

 帰途、上海で会った朋友・中国人の企業幹部は「日本の不動産大手がきてくれ、町も活発になるので、とっても良い状況です」と言っていた。また、その幹部からは「中国もGDPでは、日本に追いついたが、国民一人当たりの所得は日本の13分の1で、これから。日本はデフレ国で、下がっていますが、中国はインフレで上る国。まだまだ成長します」ともいわれ、日本の原発事故の動きを相当心配していて、返事に困った。

日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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