地震による屋根瓦の崩壊は、業者の手抜き工事か?―茨城県水戸市周辺の被害状況
ガソリンも潤沢に出回ってきたので、4月3日の日曜日に、「屋根が震災で崩れてしまった」という実家や幼なじみのいる水戸周辺に、震災見舞いに行ってきた。水戸インターチェンジを降りた途端、話に聞いていた通り、アチコチの家の瓦屋根に、青いビニールシートが張られ、その上に土嚢が多く載せられている異様な光景が、目に入ってきた。原発の放射能問題はさておき、今回の東日本大震災の茨城県の被害は、死者こそわずかなものの、かなりのものと聞いていたが、水戸周辺一帯に、住宅の屋根が崩れてしまっていて、想像以上に被害は大きいようだ。屋根が崩れているくらいだから、塀も崩れ、外壁・内壁の亀裂や崩れも相当なものだ。屋根に太陽熱ソーラーパネルを載せていた家などは、パネルが潰れてしまい、お気の毒としか言いようがない。
どうして、屋根の瓦がもろくも崩れ去ってしまったのか――。
聞けば、屋根の頂上部にある重い瓦が、強い地震に耐えきれずに、斜面の屋根瓦に落ち崩れ、一挙にベローッと滑り落ちてしまったという。一般的に住宅の屋根の頂上部は、鬼瓦を大きくして、お城のように豪華に見せようと、5枚も6枚も重い瓦が載せられている。一方、斜面のいらかの屋根には、瓦一枚一枚に釘で留められているのは屋根の両サイドの瓦のみで、屋根の中心部には、釘がほとんど打たれておらず、打たれていてもまばらで、単に瓦を斜面の屋根に載せているだけだったという。
そういう構造の屋根瓦で住宅ができているから、予想を超える強い地震が来たら、ひとたまりもない。重い頂上部の瓦が屋根に崩れ落ちると、屋根斜面に載せただけの瓦は踏ん張ることもできずに、ベローッと、もろともに落下してしまうのである。
やはりこれは、業者の手抜きミスではないのか。これまで震度6以上のもの強い地震が来なかったから皆、瓦一枚一枚に釘で留めておかなかった、というのは想定外のいいわけにはできるが、あまりに瓦工事を省力化してしまった結果ではなかろうか。その省力化・手抜きのツケが、屋根の崩壊となってしまったのである。
目下、仕方なく応急措置として、青いビニールシートをかぶせて、ロープで縛り、その上に土嚢を積んで凌いでいるのだが、そのビニールシートを手に入れるのもなかなか調達できず苦労をし、土嚢とて、いくらでも土はあるが、それを入れる袋が手に入らず困ったという。
困るのは、さらにこれから先だ。被害の戸数があまりにも多いため、瓦職人が全く足りず、屋根の修理には、1年どころか、2、3年はかかるというから、皆、諦め顔で困っている。ビニールシートは、半年くらいしかもたないそうで、6月の梅雨期は凌げても、夏のモーレツな雷雨、秋の台風には、ひとたまりもないだろうと、心配している。地震に強い家づくりに、手を抜くことはできない。
日本不動産ジャーナリスト会議(REJA)
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