マンション経営の天国と地獄③
「盤石な旧財閥系大手デベと、体力のない新興中小デベの差」
発売戸数上位に旧財閥系大手がズラリ
2008年9月のリーマンショック後に生き残ったマンション業者は、旧財閥系の大手ディベロッパーが中心となってしまった。09年の事業主別「全国マンション発売戸数ランキング」(表参照)の上位10社をみても、2位に躍進した住友不動産㈱以下、4位三井不動産レジデンシャル㈱、6位野村不動産㈱、8位三菱地所㈱と旧財閥系大手デベがズラリ並んでいる。
一方、1位は専業大手生き残り組の㈱大京だが、一度は破綻し、国に救済されて今はオリックス㈱傘下のもと再生・無配中だし、3位の藤和不動産㈱も大京同様、三菱地所の傘下となって、11年の1月1日には、統合新会社の「三菱地所レジデンス㈱」に吸収され、社名も同時に消えてしまう。5位の㈱穴吹工務店も09年秋に会社更生法を申請、大京の投資ファンドの系列となって再生開始する。さらに7位のコスモスイニシア(旧リクルートコスモス)も、9位の大和ハウス工業㈱と投資ファンドの支援で再建中だ。
これらの会社は、いずれもが元個人オーナー型新興デベから大きくなっていったマンション専業業者で、盤石な旧財閥系の大手デベと比べ、際立った苦境に立たされている。
新興デベは専業ゆえの多くの弱みが
ではなぜ旧財閥系大手デベは強いのか。それは不動産業の根幹ともいえる都市開発事業や賃貸ビル事業を経営の中心に据え、マンション事業はその一部門であり、その総合力が強みとなっているからである。賃貸ビルや株などの豊富な資産と内部留保の長年の蓄積が経営を盤石にしているのだ。
それに比べ、新興デベは専業業者として独自のノウハウ・強みがありながらも多くの弱点も持っており、バブルの崩壊や、世界的な金融危機の荒波が来ると、一挙に体力のなさが表面化し、たちまち経営が苦しくなってしまうのである。
出典:月刊不動産流通2010.11
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