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「ハザードマップ」を見て、疎開先を今から準備しておこう!

昨年の5月、東京の江戸川区が、「水害(洪水、高潮)ハザードマップ」を策定し、江戸川区のマップ上に「ここにいてはダメです」「江東5区(墨田・江東・足立・葛飾・江戸川の各区)のほとんどが水没します」「区外の安全な場所に逃げてください」などと、全世帯に呼びかけ配布したと聞いた時、正直驚いた。従来の防災常識を超えたもので、行政もよくぞここまで危機感を持って、全住民に正直に呼びかけるようになったのか、と。

「放射能汚染マップ」と同様、ハザードマップに指定されると、「地価が下ってしまい、資産価値が目減りしてしまう」という住民や業者の反対の声をものともせずに、何よりも命を守るための行動の大切さを、的確なハザードマップを策定し全住民に訴えたのは、画期的なことだと高く評価していた。

そうした矢先、昨年の10月12~13日にかけて、本物の台風19号による記録的な大雨が東日本の広範囲に襲いかかり、各地に甚大な被害をもたらした。千曲川、多摩川、那珂川、阿武隈川はじめ、多くの中小河川が同時氾濫し、堤防決壊が最終的には、71河川140カ所にも広がっていたとは、おそらく初めてのことではなかろうか。

ボクの故郷の茨城県も、高校時代まで川泳ぎをして楽しんだ那珂川の中流から水戸周辺一帯が、堤防決壊・水没・冠水に見舞われた。半ヵ月後、水害見舞いに訪れて視察したが、今回のは、ハザードマップに指定されていないところの、支流が本川に合流するところ一帯が大洪水となったケースが多く見られ、強い衝撃を受けた。加えて、後に判明したことだが、那珂川氾濫で田園地帯が、広大な湖のように広がってしまっているというのに、河川事務所、地方気象台ともに、河川氾濫発生を把握していたにもかかわらず、「氾濫発生情報」を出していなかったというミスもあり、結果、避難の呼びかけが遅れてしまったという大きな問題も残した。

こうしてみると、災害時に一番問題となってくるのは避難の問題だ。在宅避難は限度があるし、避難場所に行くのも大変だし、とくにゼロメートル地帯の江東5区などは「区外の地域に逃げてください」というのだから、そこに住む住民は、どこの区外に行けばよいのか、戸惑ってしまうだろう。となると、災害が来てから準備するのでは遅い。災害がくる以前に準備するとなると、いよいよあの戦時中と同じような「疎開」を、最初から考えておく必要性が出てきたと思う。

まずは、事前に親戚を頼って「疎開先」を確保する。今の時代、親戚と言っても、そうたやすく応じられないだろうから、疎開の期限を切って、例えば、1ヵ月間の契約にするとかの事前合意も必要だろう。親戚がいない家族は、知人や勤務先の親しい仲間を頼るなりして、各自で避難先、疎開先を確保していくのが、究極の解決策とでも言えようか。まさに、
「備えあれば憂いなし」―――

(2020.1掲載)

掲載:会報「サロン・ド・ムッシュ」2020.1月、冬号

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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