不動産ジャーナリスト 大越事務所
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不動産市場の現状と今後

小生が数名の仲間と「上智不動産ソフィア会」を結成して、早17年が経ちました。この間、経鷲会の皆さんからはスタート時から大変なお世話をいただき、感謝いたしております。当会の中心メンバーとしても、藤井統司先輩(63年経経卒)や不動産鑑定士の小國敏雄氏(78年経経営卒)が長年、リーダー格として若手を指導されており、そして今、3代目会長の上村茂徳氏(90年経経卒)が当会組織を不動産ビジネスの商談の場として、飛躍的に拡大発展させたばかりか、上部団体の「大学不動産連盟」の中でも、枢要な地位を占める活躍をしております。前書きが長くなってしまいまして、ご依頼のテーマ「不動産市場の現状と今後」について、拙文を述べさせていただきます。

ちょっと本題からそれますが、ある老舗の経済雑誌が、「この1年、どんな特集記事が売れたか」を調べたところ、一番よく売れた特集は「ウクライナ戦争」や「EV(電気自動車)」「半導体」でもなく、意外や地味な「相続」特集だったそうです。預貯金や株式・債券の金融資産、不動産などの相続に関する関心が高いのだという。なかでも税の優遇を受ける不動産には、投資の面からも興味が集まっているという。

そのような「不動産」と一口に言っても、不動産業は実に多岐多様にわたっております。最も身近な生活に直結している「住宅・マンション」をはじめ、「オフィスビル」「商業施設」「ホテル・リゾート」「物流・ロジスティクス」、「福祉・介護施設」、さらには不動産を”動産”化した不動産投資・証券化事業などと広範囲です。また、大都市においては特定街区を指定した都市再開発の再生事業や、「国家戦略特区」による国際ビジネス拠点の整備事業、地方においては「街起こし」などの地域創生事業にも一役買っております。

「失われた30年」といわれたデフレ時代であっても、都会の住宅としてすっかり定着した最近のマンション動向をみますと、売れ行きが好調で、かなり元気なマーケットとなっています。2022年上半期(1~6月)の首都圏マンションの1戸当たり平均価格は前年比1.5%増の6,511万円。東京23区内での平均価格は同0.6%増の8,090万円となり、1㎡当たり単価ではなんと127万円。3LDK・70㎡の標準的なマンションを都内で買うとなると8、890万円、これに関連経費を加えると1億円もの買い物になります。一般のサラリーマンでは、とても買えない時代となってしまいました。

それが売れているのだから、まさに大東京。一体、だれが買っているのだろうか。買っているのは大半が、富裕層とパワーカップル(夫婦の合計年収2,000 万円以上の共働き世帯)。「アベノミクス」の超金融緩和策が今なお続く中、住宅ローンが歴史的な低金利であること、そのローンの所得控除も満期まで受けられる優遇策に加え、これからのさらなる物価高、エネルギー負担増、インフレ対策上からもマンションは買い時。特にインフレには不動産は強いのです。

2022年2月の「ウクライナ侵攻」による急激な円安も手伝って、世界からの買い注文も殺到。東南アジアの富裕層はじめ、世界の投資ファンドが買い漁ってきています。もともと、日本の不動産は世界からみれば、まだまだ「割安」のところに、これまでの1㌦「105円」が「135円」(7月下旬)となり、2割も安く買えるのですから、たまらない魅力でしょう。

海外の投資ファンドにとっては、マンションばかりか、都内のオフィスビル市場も、「割安」「円安」で買い得とばかりに買いに出ています。東京の賃貸オフィスビル市場はこの2年半、新型コロナの感染拡大により様変わりの低迷状況。都心5区の空室率は、この6月も6.39%となり、供給過剰の目安となる5%を17カ月連続上回っています。これにより賃料も下がり続け、6月も23カ月連続の下落。要因はコロナ禍で社会全体にDXが加速し、テレワークやリモートワークの普及が一気に進んだがためです。在宅勤務をはじめ、サテライトオフィス、フレキシブルオフィス、レンタルオフィスなど各種のシェアオフィスへの動きが高まっており、働き方改革がかなり進展してきているのです。

7月の上智不動産ソフィア会の納涼会。前列右から3人目が大越名誉会長(初代会長)、その右後ろが上村会長。

(2022年10月掲載)

掲載:経鷲会・会報「エコノミアン」2022.10月

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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