不動産ジャーナリスト 大越事務所
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マンション化率85%は全国一!「千代田区」での分譲マンションの実態調査

東京の中心地・千代田区は、マンション化率が85%と言われているほど、マンション居住者が区民の大多数を占めています。いわば、全国一のマンション居住地域でして、最も早くマンションが普及した自治体です。それだけに、高経年のマンションも多く、マンションが“永住の場”となっているのが特徴的です。その千代田区で、興味深いマンションの実態調査結果が、このほど報告されました。題して、「千代田区の分譲マンション実態調査報告書(平成30年度)」。以下、その全容を報告いたしましょう。

千代田区内にある分譲マンションの総数は490棟、
2万4,609戸にも

報告書をまとめたのは、千代田区の外郭団体の公益財団法人・まちみらい千代田。千代田区内の全分譲マンションの住宅ストック総数は、490棟(2万4,609戸、平均戸数54戸)のうち、管理組合を調査対象として463棟に、アンケート調査を平成30年に実施しました。
そのうち302棟もの高率回答を得ました。回答回収率は、なんと65.2%という驚くべき数字となっているのも特徴的です。(従来のこうしたアンケート調査の回答率は、せいぜい30%程度までが一般的となっています。)それだけに、非常に資料価値の高いものとなっています。

管理組合が「困っていること」の悩みは、
「役員のなり手がいない」こと

まず、管理業務の実施状況を見ますと、「管理会社にすべて委託」が85.8%を占めています。これを、国土交通省が全国調査した平成30年度の「マンション総合調査」の74.1%と比べてみますと、かなり上回っています。
管理組合の問題点について、「困っていること」を聞いてみると、「役員のなり手がいない」が24.5%、「管理に無関心な居住者が多い」が22.2%、「管理組合が機能していない」3.0%、「特になし」が53.0%でした。「生活関連のトラブル」については、「ゴミ出し関連」が16.9%、「騒音関連」が12.3%、「共用部の利用」8.6%、「駐輪関連」8.3%、「民泊関連」4.0%、「ペットの飼育」が3.6%などで、その他は、「喫煙関連」「鳥のフン」「宅配ボックス」等となっています。

「防災計画がない」が過半数弱で、
「消防・防災訓練もしていない」が7割

「防災」への取り組みについては、まず、「消防・防災計画や防災名簿」が「ある」と答えた管理組合は43.0%で、逆に「ない」が48.0%で、「ある」を上回りました。「消防・防災訓練の実施」については、「実施している」が24.5%で、「実施していない」の70.9%が圧倒的。
「地震発生時の対応」については、「居住者の安否確認の実施」が11.9%、「対策本部の立ち上げ」が8.3%で、「特に決まっていない」が80.8%と全く持ってお寒い状況です。「管理組合の災害用備蓄品」については、「飲料水」が最も多く16.6%、次いで「携帯用トイレ」が14.6%、「救出用工具」が13.9%、「食料」13.2%、「非常用発電機」8.9%、「災害対策用トイレ・組立式トイレ」8.6%、「投光器」5.6%、「炊き出し用品・かまど等」3.0%、「無線機」2.6%と続く。一方、「管理組合では備蓄していない」という回答が、59.9%もありました。
「防災対策」については、「AEDの設置」が24.2%、「エレベーター用非常用備蓄キャビネットの設置」21.5%、「防災用備蓄倉庫がある」14.9%、「各住戸の備蓄の促進」10.3%、「各住戸の家具転倒防止の促進」6.6%など。

マンションの管理費と修繕積立金についてみると、「管理費」の月額・㎡当たり単価は、「400円以上」が24.7%と最も多く、全体の約6割が「300円以上」で、平均金額は「358円」と、東京のど真ん中に位置しているだけに、かなりの高さとなっています。ちなみに、国交省の「マンション総合調査」では、月額・㎡当たり単価は、「100円~150円」が19.7%と最も多く、平均金額は「154円」となっており、千代田区が、いずれも倍以上の高い管理費を払っています。
「修繕積立金」の月額・㎡当たり単価の平均金額は、「179円」で、「マンション総合調査」の「164円」と比べてみても、かなりの高さであることが分かる。

「耐震診断」を「実施していない」が65%で、
その理由は「費用が高い」

「長期修繕計画」については、「作成している」が67.5%で過半数を超えています。一方、「耐震診断」については、「実施していない」が65.3%と、かなりの高い比率で、多くの問題を残しています。そこで、「実施していない理由」を聞いてみると、「費用が高額である」が30.6%と最も多く、ついで、「耐震診断結果が悪くても、工事費用が捻出できないから」が24.2%、「耐震診断は必要ない」は14.5%、「診断方法や費用が分からないから」と「区分所有者の合意形成が難しいから」とが、ともに12.9%で、「診断結果が悪い場合、資産価値の低下が心配」が11.3%ほどでした。

「町会への加入」は過半数近いが、
「地域イベントへの参加」は3分の1程度

最後に、「地域との交流」については、まず「町会への加入」について聞いてみると、「管理組合が町会に加入している」は47.4%で、過半数に近く、「居住者個人で加入している」という管理組合も17.9%でした。その反対に、「管理組合、個人ともに加入していない」が、11.3%と1割強。 「地域イベントへの参加」については、「参加している」が34.1%と3分の1程度で、「参加していない」が、57.3%と過半数以上でした。「参加していない」管理組合に、不参加の理由を聞いたところ、「そもそも地域との交流が希薄」が35.8%で、「町会未加入のため、参加していない」も6.4%おりました。

(2019.10掲載)

 
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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